2006年10月28日

医療崩壊〜医療をマーケットに任せてみる?

こんにちは。

本当にアクセスが増えていて驚いています。
この問題についての皆様の関心の高さがうかがえるとともに、自分の文章を何千人の人が読んでくださるというのは、あらためて身の引き締まる思いです。

前回のブログで医療崩壊の原因を概括しました。

そしてその上で

(1)サービスに対するニーズがあるのに不当な価格を強制していることが医療崩壊を招いている。したがって原則として混合診療を解禁し、価格決定をマーケット、すなわち医療機関と患者に任せる。株式会社による病院経営、民間保険による自費診療カバーをあわせて解禁し、医療法による病床規制も撤廃する

(2)価格が品質(要求されるサービスの質)に対して不当に安いことが崩壊の原因と考えられる。対策として公的保険でのカバーを維持しつつ価格を上昇させる。すなわち診療報酬を引き上げ、これに伴い公的医療費支出を引き上げる

(3)価格を引き上げないのにサービスに対する要求が上昇していることが問題なので、放っておいてサービスの質が引き下がるに任せる。具体的にはアクセス、医療内容の低下、産科や小児救急自体の閉鎖など。

の3つの選択肢がありうると述べました。

医療も社会の一部である以上、経済法則の例外ではありえません。
従って、サービスはどこまでも向上させてほしいがコストは自分以外の誰かが負担してほしい、というのは不可能です。

最終的にはこの問題は国民の皆様がどの選択肢を選ぶか、ということに還元されると思います。
ただし、郵政の問題もそうでしたがこのような重い問題はマスコミ的な軽いノリで決めていい問題とは思えません。本来医療の専門家には各選択肢を取るとどうなるかを呈示していく責任があると思っています。私がこのブログでわざわざこの問題を取り上げたのは投資家の素養をもつ皆様にぜひ医療問題の経済的な背景を共有していただきたいと思ったからです。従って、この選択肢をとるべきだ!と私が主張するのではなく、各選択肢を取った場合何が起るのかを専門家の立場から予想していければと思います。


今日からは少し時間をかけて@の選択肢を取った場合、すなわち医療の価格形成をマーケットに任せた場合、医療サービスにどのような変化があるのかを考えていきたいと思います。アメリカの事例や市場のもつ性質から以下のような変化が不可避的に予想されると思います。

変化a:経済力によって受けられる医療の質が変化する。

変化b:医師、看護師など医療者側への競争原理の導入とこれに伴う意識変化

変化c:民間医療保険の巨大マーケットの出現とそれに付随する問題

変化d:総医療費(公的医療費+私的医療支出費)の飛躍的増大

変化e:負担できない人、すなわち貧しい人、そしておそらくは中流層も受けられる医療サービスが質、量とも大幅に低下する

変化f:法的な諸問題の克服

まず変化a:経済力によって受けられる医療の質が変化する。について見てみます。

価格形成を自由化する以上、当然のことです。
その結果、最も多く負担する人、すなわち富者の受けられる医療サービスは間違いなく向上します。

・待ち時間ゼロ
・完全予約制でホテル並みのプライバシーの保たれた個室、一日に頻回の主治医および研修医による診察
・従業員や医療従事者による丁寧な説明、接客
・本人、家族に対する24時間対応の優先受診
・入院中のきめこまやかな心理ケア
・言うまでもなく最高の技量を有する医師による最善の治療

現在、マスコミにより批判される日本の医療の問題点がすべて解消した理想の医療を提供する病院がたくさんできるでしょう。
ただし、対象はあくまでも相応の価格を負担できる方だけです。
エノテカピンキオーレやロオジェといった最高級レストランはシェフもソムリエも接客サービスももちろん最上級です。ただし、全員がサービスを受けられるわけではありません。
なお、巷よく言われる「アメリカの医療はきめこまやかでサービスが優れている。」という主張があります。これも対象はあくまでも相応の価格を負担できる方だけであることを明記しておきます。

次回以降は医療の市場化に伴い変化b〜eが不可避である理由と、その影響を考えてみたいと思います。

posted by たけ先生 at 14:04| Comment(27) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月26日

医療崩壊B〜病院には価格決定権がない

こんにちは。

アクセスがここ最近急増しているので驚いています。
医療問題にはみなさん関心があられるようなので本当にうれしいです。

当ブログはもともと株式投資ブログですし、今後も経済学的に医療問題を考察していきたいと思います。
また視点についてはなるべく中立的な立場で記載するように心がけていきたいと思っております。

前回、医療崩壊問題を概観した後金融機関の友人からの疑問点を紹介しました。
〜以下引用〜
・そこまで需要に対して産科医、特に夜間診療の供給が足りないなら産科医の待遇をあげればいいのではないか??

・産科医の労働条件がそれほど過酷なら複数雇用して負担を分担すればいいのではないか??まさか病院の産科医が3倍に増えても負担が減らないことはないだろうし、病院としても産科がなくなるよりはその方が経営的にもいいのではないか??

・訴訟リスクの上昇が問題なら保険もあるし、訴訟リスクをプレミアムとして乗っけた価格で医療を提供すればいいのではないか??

今回はこの問題について考えてみたいと思います。

あまり知られていないことですが、医師が提供する診療の大部分を占める保険診療では病院側に価格決定権はありません。あらかじめ国によりサービスに対する価格が決定されています。
たとえばこの点滴をしたら何円、この薬を使ったら何円という感じですね。

そしてその決まった価格のうち原則3割を患者さん、原則7割を国の保険料と税金から負担しています。

価格決定権がないということは一般企業でいうとどれほど品薄な製品であっても、価格を値上げすることは許されないということです。
端的にいえばこれが友人の質問に対する答えのすべてです。

投資家的センスのある当ブログの読者さんのためにファンダメンタル分析風に記載してみます。

 ・・・株式会社「iryouhi」では、極めて高度な技術と専門化集団の労働集約、さらに最新の設備が必要な生活必需品「sakugen」を生産しています。
 「sakugen」は生活必需品であり、高度に公益性が高い商品であるため、あまねくすべての家庭にいきわたるように価格は一律500円と法律で決められています。ところが近年「sakugen」製品電気回路の不具合によるとされる(真偽は不明)爆発事故が起こり、マスコミは猛烈に「iryouhi」をバッシングしました。安全確保のため製造コストが急増し、「sakugen」単体では赤字の製品となってしまいました。
 「iryouhi」経営陣は危機感を持ちましたが、価格転嫁は許されていません。どれほど需給が逼迫していても生産コストが上昇しても価格転嫁は全くできません。
 そのため従業員を増員できないし、従業員給与もあげられません。
 それでも消費者からの減らないニーズとどこまでも増大する品質改善要求に対応すべく、「iryouhi」経営陣は高度な技術を持った従業員たちと工場にフル稼働を命じました。その結果、工場設備は劣化し、現場の高度技術従業員たちも過労と睡眠不足にさらされ、どんどん疲弊していきました。
 また消費者による品質改善要求はますます激しくなり、品質に不満のある消費者は「iryouhi」あいてに損害賠償請求を次々と起こし、一部は会社が敗訴するようになりました。さらに警察も「sakugen」の爆発事故に対し製造責任を問い、不眠不休で働いていた工場の責任者を逮捕しました。(なお、事故に製造過失があったかどうかについては現在刑事裁判で争われています。)
 こうした環境に耐えかねた「sakugen」工場の高度技術者は次々と工場から去っていきました。その結果、工場は次々に閉鎖し、「sakugen」の生産性は絶望的に低下し、消費者の需要を満たすのに必要な量を製造することができなくなりました。
 深刻な「sakugen」不足は社会問題になりましたが、「iryouhi」経営陣は生産を中止することも値上げすることも増産することもできません。
 現在「iryouhi」経営陣は残った従業員にさらに過酷な労働とノルマを課しています。
 一方、、「sakugen」不足と品質低下の犯人探しにやっきになったマスコミは工場を辞めた従業員に対し、「公共のために奉仕する気持ちが足りない!!専門技術を持ちながら自分勝手に工場を辞めるとは何事だ!!仕事が大変なのはお前だけではない!!甘えるな!!工場に入った原点を思い出せ!!」とさらに猛烈なバッシングをしました。
 こうした世論を受けて経営陣は「sakugen」工場からの離職禁止および強制労働を自社の高度技術者に課すための法律整備を国に求めています。・・・

 こうしてみると医療崩壊がイメージしやすいのではないかと思います。
 同時にあれほど医師が過酷な労働を強いられている理由は単純に「人をたくさん雇えるだけの価格がついていないから。」であることが明白であると思います。

 実は以上の話は産科に関しては部分的に当てはまらない部分があります。産科はちょっと独特な混合診療で異常分娩は保険診療である反面、通常の出産は自費だからです。

 しかし、これについてもどうやら価格決定には上方硬直性があるようです。これだけ産科医が不足しているにもかかわらず全く出産費用は上昇していません。
 おそらくこうした上方硬直性は公立病院など公的病院が出産価格を上昇させられないところに起因していると思われます。つまり、現状では「うちの病院だけ値段を上げるくらいなら産科がつぶれるほうがマシ!」という行動を取っている病院が多いと思われます。

ではこの問題はどう解決したらいいのでしょうか??

方法としてはいくつか考えられます。

 (1)サービスに対するニーズがあるのに不当な価格を強制していることが医療崩壊を招いている。したがって原則として混合診療を解禁し、価格決定をマーケット、すなわち医療機関と患者に任せる。(国民皆保険を廃止するというのも選択肢としてはありうる)株式会社による病院経営、民間保険による自費診療カバーをあわせて解禁し、医療法による病床規制も撤廃する→(自由主義路線、経団連、規制改革会議、日経新聞などの主張寄り)

 (2)価格が品質(要求されるサービスの質)に対して不当に安いことが原因と考えられる。公的保険でのカバーを維持しつつ価格を上昇させる。すなわち診療報酬を引き上げ、これに伴い公的医療費支出を引き上げる→(福祉国家路線、医師会、勤務医の主張寄り)

 (3)価格を引き上げないのにサービスに対する要求が上昇していることが問題→価格を維持しつつサービスの質を引き下げる。具体的にはアクセス、医療内容の低下、産科や小児救急自体の閉鎖など。

現状の医療崩壊は(1)も(2)も取れないために(3)が進みつつある状況です。
次回は(1)の制度を取るとどうなるかについて中立的な視点から考えてみたいと思います。


posted by たけ先生 at 17:07| Comment(5) | TrackBack(4) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月23日

医療崩壊A〜医療崩壊はなぜ崩壊が崩壊を呼ぶのか??

こんばんは。

早速多くのコメントをありがとうございます。
熱心に調べてくださりうれしいです。
この医療崩壊シリーズではなるべく中立的な視点で経済学的な観点から医療崩壊を考察してみたいと思います。

第二回では、なぜ医療崩壊ではポジティブフィードバックが起きやすいのかを考察してみます。

まず医療崩壊のポジティブフィードバックについて考えてみます。
トピックスなので産科を例に考えます。

まず前提として産科は医者の中でもかなり特殊で厳しい分野であり、限られた専門家しかできない領域です。

医師国家試験でも例えば小児科は内科の知識がかなり役に立つのですが、産科についてはかなり別系統の知識として覚えねばなりません。
現在では批判が強くなりましたが、ローテーションが始まる前には研修医がこっそり(おおっぴらに?)内科病院で当直にはいっていたりしたことがありました。しかし、そんな時代でも産科当直に産科以外の研修医が一人当直することは決してありませんでした。医師なら誰でも産科業務の特殊性、専門性、急変リスク、危険性、緊急性について認識しています。
(テレビでコメントしているタレント女医には怪しい人もいるようですが・・・)

これが何を意味するかというと、地域の産科診療はもっぱら産科専門医という少数のプロ集団に依存していることを意味します。
特に夜間救急や夜間分娩に対応している病院や、ハイリスク妊娠(妊娠中毒、前置胎盤、胎盤剥離、糖尿病・・・)を扱っている少数の病院は数少ない勤務医が馬車馬のように労働することでかろうじて維持されています。

仮に人口20万の町に4つしかこうした夜間救急に対応できる産科病院がないとしましょう。(これでも実情より多かったりします。)
過酷な勤務や訴訟リスク、患者やマスコミからの攻撃に耐えかねて、あるいは単に過労で倒れてそのうちのひとつの病院で産科医がみなやめて、婦人科開業したり医者をやめてしまったとします。

残りの3つの病院はさらに悲惨です、4つあった時代でさえ過酷だったのに、今度は3つの病院で支えなくてはなりません!!これらの病院の医師はさらに馬車馬のように働きますが、とても人手が足りません。
結果として今回の奈良の事件のようにまったく緊急患者を受け入れられなくなってしまいます。(マスコミはこれをたらい回しと呼びますが、さすがに悪意的な言い方といわざるを得ません。)

そうこうしているうちに、残りの3つの病院のうちひとつの病院でまた産科医がいなくなりました。残りの二つの病院はもう戦場のように忙しくなります。そろそろ妊婦が隣町の病院に運ばれます。その結果隣町の病院もパンクし、産科医がいなくなり・・・、とドミノ倒しのように医療機関がパンクしていきます。

おおよそこれが医療崩壊の流れです。これが某巨大掲示板で「逃散」と呼ばれる現象で、いま日本中の産科、救急などで加速度的に起こっています。

ところで私がこの現象を金融機関の友人に話すと非常に不思議そうに以下のいくつかの質問をされました。

・そこまで需要に対して産科医、特に夜間診療の供給が足りないなら産科医の待遇をあげればいいのではないか??

・産科医の労働条件がそれほど過酷なら複数雇用して負担を分担すればいいのではないか??まさか病院の産科医が3倍に増えても負担が減らないことはないだろうし、病院としても産科がなくなるよりはその方が経営的にもいいのではないか??

・訴訟リスクの上昇が問題なら保険もあるし、訴訟リスクをプレミアムとして乗っけた価格で医療を提供すればいいのではないか??

私はこの指摘を受けたときに非常に驚いたのですが、よく考えると日ごろ企業価値や収益性を分析するときには当然こうした経済学的な視点で見ていることに気づきました。


このブログを見ておられる投資家の方はあるいは同じように感じられるのではないでしょうか??

ところが残念なことに医療や病院においては上記の疑問点に沿った解決策は事実上不可能といっていいほど困難です。だから医療崩壊が止まらないのですが・・・。

次回はなぜ、こうした経済学的解決が医療において困難であるかを考察してみたいと思います。
posted by たけ先生 at 20:24| Comment(12) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月22日

資本主義と社会主義の間で〜医療崩壊のデフレスパイラル

こんにちは。

北朝鮮の核問題はやはり進展しないですね。
中国と韓国はのらりくらりと事態を引き伸ばす方向にあるようです。

株式市場は最近本屋に少しづつ株に関する本が増えてきたので、新興もリバウンドが近いかな?と勝手に思っています。

今日からは少し職業の分野の話、医療崩壊をテーマに語ってみたいと思います。
直接株とは関係ないのですが、心理学や経済学、医療業界の特殊性などこのブログのテーマと少し近い部分もあると思います。

このブログを見てくださっている方はかなり知性の高い方が多いといつも感じていますので、皆様のご意見をいただければとてもうれしいです。

最近、産科、小児科、救急などハイリスクかつ多忙な診療科における医師不足が毎日のように話題になっています。

つい先日も奈良県の大淀病院の妊婦さんが搬送先がなかなか見つからず、結果的に死亡してしまうという事件が起こりました。
患者さんの医療安全に対する要求水準はマスコミ報道もあいまってどんどん上昇しているのに、実際の医療提供体制はこれに追いつかず現場の医師、看護師は疲弊しきっていっているのが実情のようです。

また、医療崩壊の深刻な点はデフレスパイラルと同じように崩壊が崩壊を加速させるポジティブフィードバックがかかる点にあります。
次回はなぜ医療においてポジティブフィードバックがかかりやすいのかを考察してみたいと思います。

(なお、大淀の事件についてはマスコミの報道はかなり事実と異なるようです。まず18病院は「たらいまわし」したのではなく、診療対応できない状態だったようです。また、CTを早期に撮像していたとしても残念ながら妊婦さんの救命可能性は相当に低かったようです。
新小児科医のつぶやきという小児科の先生がお書きになったブログに真相らしき推測が書いてありますので興味のある方は是非ご覧下さい。)
posted by たけ先生 at 23:43| Comment(4) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月20日

北朝鮮核実験の政治的影響

こんにちは。
少し間が空いてしまいました。

最近毎日のように色々な事件が起こるのでcatch upが大変ですね。
今日は前回の続きで北朝鮮核実験の政治的影響について考えてみます。

これまでのところ、株式市場は堅調ですし、実のところ世界はあまりこのニュースを重要視していないように思われます。

しかし北朝鮮核実験の真の問題点は別のところにあります。

それは核保有クラブによる核管理体制は果たして維持できるのかという点です。

現在のところまでアメリカも日本も中国も韓国も判で押したように「外交的解決」を主張しています。
しかし、北朝鮮に核放棄をさせない結果になる外交的解決は極めて問題です。イラク戦争のときアメリカは「大量破壊兵器開発の疑い」を口実に開戦しました。イラク戦争の是非はさておき、ひとまず世界の国家に「核保有はリスクを伴う」と思わせる効果はあったと思います。

しかし、北朝鮮による核保有を事実上認める、もしくは核放棄のために大幅な外交的譲歩をした場合、二つ大きな問題点があります。一つ目はイラク戦争の開戦の大義名分がやはりウソだった、というアメリカの欺瞞が広く認識されてしまうことです。
すなわちイラク戦争の開戦の真の理由は「イラクが地政学上、資源上アメリカにとって重要な国であり敵対的な政権を放置できなかった。」ということが明らかになります。

さらに問題なのはこの後です。
上のイラク戦争の話を逆に言えば、アメリカにとって重要な国、地域でない場合当該国家が核保有してもアメリカは武力行使というコストのかかるオプションを選択できない。ということになります。

要するに北朝鮮は資源もないし、どうでもいい国なので戦争までしたくはない、ということです。
つまり「アメリカにとって重要でなく、直接的な脅威でない国」にとっては「核は結局持ったもん勝ち!!」になるわけです。

アメリカは戦争という選択肢は取れないし、最悪核保有をカードにすればアメリカから外交的譲歩を引き出すことができるかもしれないので「核を持たないほうが損」ということになるわけです。

このシナリオは悪夢のようなシナリオです。
たとえばアメリカにとって北朝鮮は重要でなくとも日本や韓国にとっては重要です。もし中国が真剣に制裁を行わず、結局北朝鮮の核保有を国際社会が追認する形になれば、韓国や日本が核保有を宣言しても中国やアメリカは北朝鮮の核保有を止められなかった立場上強い主張はしにくいでしょう。

現に韓国では国民の8割が核武装に賛成しているそうです。また日本でも核武装について議論をしてはどうか、という発言が与党政治家から出ています。

左翼系市民団体の妄想とは異なり、日韓の核武装論は積年の悲願に向けた陰謀ではありません。現在の核不拡散体制が機能しないのであれば、「いやいやながら核武装せざるを得ない。」状況に日本、韓国が追い込まれることを危惧した発言と思われます。

核保有を望む日本人など誰もいませんが、しかし、アメリカも中国も結局北朝鮮の核武装を全く防げないことが明白になれば上記のシナリオは否定できません。
こうなれば次は台湾、ベトナム、タイ・・・と際限なく核保有が続くことになりかねません。

繰り返しになりますが現在の核不拡散体制は「新規の核保有を国際社会、特にアメリカが絶対に許さない」という抑止のもと成立しています。
皮肉にもアメリカが武力行使を選択肢から排除したことが際限のない核拡散と軍拡競争をもたらすリスクがあると思われます。

そしてマーケットは全くこのリスクを織り込んでいません。
NYから見れば北朝鮮など遠い国の物語なのでしょうが、上記のシナリオが実現してしまった場合のアジアへの悪影響は尋常なものではありません。

北朝鮮が核保有を公式に断念させられる形でこの問題が収束することを切に願っています。

上記のリスクを韓国市場が全く織り込んでいないと考え、POSCOは売却し、アメリカ株を購入しました。日本からは逃げられないので割安な日本株も買い増しましたがどうなるでしょうか。

売却銘柄:POSCO

新規購入銘柄:Anheuser Busch(BUD)Glaxosmithkline(GSK)

買い増し銘柄:フージャース、ステップ、蔵王産業
posted by たけ先生 at 17:56| Comment(6) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月15日

北朝鮮核実験の相場への影響@

こんにちは。

先週の株式市場は北朝鮮の核実験というサプライズの割には堅調でした。

もっとも、円やウオンなどアジア通貨はドルに対して大きく値下がりしていますし、為替市場と株式市場で危機への織り込み方の影響が違うような気がします。

また、機関投資家や米株の影響を受けやすい東証一部のブルーチップが堅調なのに対し、個人投資家の影響の大きい新興株は下落が止まりません。

機関と個人でもリスクの織り込み方が違うような気がしますね。
特にパチンコ関連銘柄の下落は個人のこの問題に対する敏感さを表しているように思えます。

ネット掲示板の情報(?)によると、
制裁など日朝関係の恒常的悪化→朝鮮総連など在日北朝鮮関連組織に対する風当たりが強くなる→朝鮮系のホールオーナーが多いといわれるパチンコへの法的規制の強化といった連想が働いているそうです。

まあそれなりにそうかな、と思うシナリオでもあります。しかし、現在北朝鮮経済は主に中国、韓国との貿易に依存しており、日本のパチンコ業界からの送金は(もしあったとしても)それほど外貨獲得に占めるウエートは大きくないと思われます。
それに銀行口座と直接的な船舶の往来を止めてしまえばさすがに日本から北朝鮮へ送金するのも困難でしょうし、わざわざパチンコ業界全体を規制する決定的な理由になるとも思いにくいです。。

もし、こういった理由だけで売られているなら、裁定のチャンスかもしれませんね。

しかし、この核実験の政治的影響は軽微ではすまないように思われます。
次回はその辺りを予想してみたいと思います。
posted by たけ先生 at 12:15| Comment(1) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月12日

北朝鮮核実験と売買報告

こんにちは。

ミクシイの話を書こうと思ったのですが、先に北朝鮮の核実験という大ニューズがあったので、そちらの話を中心に書いてみたいと思います。

マーケットは北朝鮮の核実験を受けて急落しています。
特に個人投資家が多い新興市場はムードが悪いせいか、全く買いが入らない状況です。

事実上底抜けしているといってもいいかもしれません。
中でも深刻なのがパチンコ関連銘柄です。

どうしても業界的に日朝関係が悪化すると規制やら反感やらを受ける、との連想が働くためか業績以上に売られています。

もっとも、上場している企業はホールそのものではなく、実のところそれほど北朝鮮と関係が深いわけではなく、マーケットが過剰反応している可能性があると思います。

こうしたマーケットの過剰反応を利用するのがバリュー投資の醍醐味と考え、ナンピンをしてみました。どうなることでしょう?

買い増し銘柄:

ダイコク電気

テクノメディカ

posted by たけ先生 at 01:09| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月08日

国内新車販売不振の原因について

こんにちは。

少し間が空いてしまいましたが、国内自動車販売不振の原因についての考察です。

日経新聞の見出しなどでは原因について「原油高によるガソリン費用高騰を受け、セダン車より燃費のいい軽自動車が人気になっている。」などと指摘しています。

しかしよく考えるとこの説明には疑問も残ります。
まず、末端のガソリン価格が140円台を超えて急騰したのは比較的最近です。
それに新車の販売台数は「自動車を買い替えるか」の問題であり、必ずしも燃費の問題だけでは説明しきれない部分があると思います。

新車の販売不振はもっと根深い構造的な問題が原因である可能性があります。それは高齢化都市への人口集中です。

言われつくされていることですが、東京での生活に自動車はあってもいいですが、不可欠ではありません。
東京の駐車場代、道路の渋滞(燃費が悪い!)、無駄に高い首都高速の高速料金、車検や自動車保険など日本の自動車にかかる割高な維持コスト・・・を考えるとおそらく自動車に乗りたい局面はすべてタクシーに乗るほうが安上がりであると思います。

たとえ終電を逃してタクシー代を1万円払うことになったとしても、そんなのは月に何回もあるわけではありません。
またアルコールが入っていたらどのみち代行運転を頼まねばならず、その費用も安くはないでしょう。

こうして考えると東京など都市部では車は実用的には損であり、持つとしたらロレックスの時計やバーキンのように、ステータスシンボルとしての機能のほうが重要と思われます。

ステータスシンボルとしての意味合いならカローラでは力不足ですし、レクサスもイメージがぱっとしません。やはりメルセデスやBMW、ポルシェ、フェラーリといった海外ブランドの圧勝です。

これに対して地方では「車がないと生活にならない。」との声をよく聞きますし、事実そうだと思います。
しかし現在地方は高齢化および過疎化がさらに進行しています。
孤立した老人世帯はいつまでも自動車を運転するものでは有りません。
彼らのうち資力のある世帯は病院や福祉施設、買い物が便利な都市部へ転居するでしょう。(都市部のマンション需要の一因です。)

また資力のない世帯にしても、いつまでも運転し続けられないでしょうし、そもそも頻繁に買い換えないでしょう。
要約すると日本において自動車が必要となる地域は高齢化および人口減少がすごい速さで進んでいる。したがって国内において自動車需要のファンダメンタルは減少していくことが予想される。ということになると思います。

トヨタの奥田前会長は経団連会長時代に
「日本の労働者の賃金はまだまだ高すぎる。住宅ローンや生命保険、医療保険など見直す点はまだまだあるはずだ。」と発言したそうです。
もっと家計をカイゼンしろ、だから企業はまだまだ人件費を削れる、という意味合いだったのでしょうが、どうやら住宅ローンや生命保険より先にカイゼンされた出費は都市部での生活に不要な自動車の買い替えだったようです。

まとめ:地方の過疎化、高齢化および人口の都市への集中の結果、自動車への需要は今後も減退し、ステータスシンボルとしての超高級車市場と安価な軽自動車以外は伸びにくいと思われます。

ここ数日、mixiの個人情報管理に関して問題が発生しているようです。
次回はmixiなどweb2.0株について考えてみたいと思います。
posted by たけ先生 at 14:10| Comment(2) | TrackBack(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月03日

国内自動車販売台数の減少@

こんにちは。

久しぶりに個別銘柄の分析をしようかと思ったのですが、その前に気になるニュースがひとつ。

国内の新車販売が不振のようです。
国内上記の新車販売は174万台と1977年(いつの話でしょう??)以来の低水準を記録しました。

その分軽自動車販売が96万台と過去最高を更新し、明暗がくっきり分かれています。あまり気に留められていませんが、これは結構重大ニュースです。

「日本自動車は今や世界企業!!国内市場が頭打ちでも世界で勝負すればいい!」

とのご意見もありそうですが、そうでもありません。

トヨタ自動車の昨年の売上高と営業利益の国別割合は以下の通りです。


06年度

日本  売上高 13兆1000億円 営業利益 1兆800億円

北米  売上高 7兆7000億円  営業利益 5000億円

欧州  売上高 2兆7000億円  営業利益 900億円

アジア 売上高 2兆4000億円  営業利益 1450億円

ごらんの通り、売り上げの8割、営業利益の9割を日本と北米で占めています。
さらに国別の営業利益率は

日本: 8%

北米: 6%

欧州: 3%

アジア:6%

と日本が一番高くなっています。

さらに気になるのは、北米では売上高が20%増えているのに営業利益は10%しか増えていない点です。
つまりマージンが低下しているわけで販売代理店への報奨金の増加も一因のようです。こうした北米における営業利益率の低下は他メーカーでも見られるようです。

したがって、国際企業といっても、なお自動車メーカーにとって日本はドル箱であり、日本における自動車販売不振は深刻な問題であると考えられます。

ではなぜ日本で自動車販売が不振になっているのでしょう??
次回からは原因と今後の展望について分析してみます。
posted by たけ先生 at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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