2006年11月02日

医療をマーケットに任せてみるA=医療者側の意識の変化

こんにちは。

アクセスだけでなくコメントも増えましたね。
よそのブログもそのようですが、この問題はみなさん思うところが多いようですね。
繰り返しになりますが、本ブログはなるべく中立的に「どうあるべきか」ではなく「どうなるだろうか」を考えていきたいと思います。

さて、今回は医療の価格形成をマーケットに任せた場合、医療サービスにどのような変化があるのかの第二回です。

お題は変化b:医師、看護師など医療者側への競争原理の導入とこれに伴う意識変化です。

この部分は市場化によって劇的に変わるでしょう。

具体的には

・医療がサービス業である意識の徹底

・接客の大幅な改善

・収入のよい診療科や病院を目指しての競争

・金持ちの患者さんを取り込むための病院のサービス競争

といった効果がすぐにでも起こると思います。

アメリカでは医師の収入のいい診療科順に学生の人気があります。
ちなみに最高のステータスは美容外科と胸部外科。この二つの診療科でお客を呼ぶためには一般外科で何年もキャリアを積まなければなりません。

美容がもっとも収入が高いのは日本も同様ですが、現状は医師に公的な倫理観が強いためかまだまだアウトロー的な印象があります。
市場化すればアメリカ同様、美容外科は最高のステータスになるでしょう。逆にほとんど経験のないまま美容外科医になる医師が高収入を得るのは長期的には難しくなるかもしれません。

医師の接客も劇的に改善すると思います。偉そうな医師はクビです。
また確かな臨床技術としっかりした研修を受けたことは即金持ち限定の一流病院への就職につながるので、臨床研修の段階で臨床技術の習得競争が起こります。したがって、そうした一流病院で働く医師の技術は今以上に向上すると思われます。
現状だと医師間の競争はなぜか論文の数で行われています。論文数×引用=インパクトファクターなる奇妙な尺度がその評価基準です。
問題は基礎実験系のほうがこのインパクトファクターが稼ぎやすいので、まったく手術ができないなど極めて臨床能力の低い人が臨床系の大学教授になり、地域医療の人事権を握ってしまうことがままあることです。
この部分に対する批判が医療界の内外から強くなったことも一因となり、医局講座制はいままさに存亡の危機にたたされています。

しかし市場化すればこのように臨床能力のない人が臨床医のトップに立つことはまずありえなくなるでしょう。そんな人についていってネズミを何匹殺しても高い収入もステータスも得られなくなるからです。
純粋に研究を愛する人だけが研究に打ち込み、出世狙いでやりたくもない研究をやる臨床医はいなくなります。
この面では医療界にプラスの影響があるかもしれません。

ただし、世の中いいことではありません。
おそらくこの世界では中〜低所得者相手の病院に勤務する医師の収入は相対的に低いです。そのため一部の赤ひげのような人を除き、基本的には競争の敗者がこうした病院を担当するようになります。こうした病院は設備もモチベーションも貧弱となり、提供される医療レベルは質量ともに現状より貧しくなると思われます。

したがって名医にかかりたいなら、たくさんお金を払わなければならないし、負担できない人はまあそれなりの医師にしかかかれないようになります。

もっとも、現状ではまったく医師選びの基準がないため、この方がフェアであるという見方もありえます。一長一短ですね。

次回は変化c:民間医療保険の巨大マーケットの出現とそれに付随する問題です。実は医療を市場化した際にもっとも大きな問題点となるのがこの部分で、私にはうまい解決方法がみつかりません。

皆様にも一緒に考えていただければと思います。
posted by たけ先生 at 00:52| Comment(2) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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