こんにちは。
前回の続きで、不動産価格と不動産株の未来を考えてみたいと思います。
まずは買い手の心理を考察してみます。
PALCOMさんのコメントにもあったのですが、分譲マンションは使用価値(
賃貸収入)と
比較して著しく割高な価格がついているケースが多いと思います。
買いたい人がとてもたくさんいるからこそこうした割高な価格がつくケースが多いわけなのですが、ではどうしてこうした行動を買い手はとるのでしょうか??
考えられる要因を列挙してみます。
@新築プレミアム 新築物件は築1〜2年の物件に比べて1〜2割プレミアムがついています。
ところで、新築物件を賃貸で借りても2年後の更新の際に家賃が2割下がったりすることはまずありません。
つまりこのプレミアムは買い手は負担していますが、借り手は負担していないプレミアムであり、
利回り低下をもたらします。
A持ち家信仰古来より日本には「一国一城の主」という言葉があるように、「男は家をもって一人前」という神話があります。
これもプレミアムをつけているかもしれません。
しかし、こうした要因だけではあの
分譲価格は説明できないと思います。
特にAについては、私の周りだけかもしれませんが女性のほうが
マンション購入に積極的な傾向もあるように思われます。
またこのモデルでは30年ローンなど超長期にわたる
住宅ローンが好まれることを説明しにくいと思います。
30年ローンで「一国一城の主」・・・。少し無理があるようにも思われますし。
おそらく買い手にはこうした要因のほかに認知的錯覚があるのではないかと思われます。
一言で言えば
B「家賃は何も残らない無駄な出費である。」という錯覚です。
不動産屋さんの必殺のセールストークは
「家賃と同じお金を毎月住宅ローンで払えばそのマンションは自分のものとして残りますよ!!絶対若い今のうちにローンを組まれたほうがお得ですよ。」です。
特に女性は無駄な出費を嫌います。
「毎月高い家賃を払うくらいなら、月々の支払いが同じ住宅ローンのほうがお得よね・・。」と考える若い女性は(少なくとも私の周りには)多いようです。
ここに不動産の低い利回り(高すぎる価格)の秘密があるように思われます。
以上の説明をモデルで考えてみます。
家賃20万円の物件があるとします。
この家賃をとても無駄であると考えている入居者はいくらでこの物件を購入するでしょうか??
もちろん前提として不動産屋が必殺の「毎月の支払い額が同じなら住宅ローンのほうが断然お得ですよ!!」トークをしているものとします。以下この必殺トークに基づく
住宅価格を
「住宅ローン必殺理論適正マンション価格」と呼びます。
この場合頭金で購入価格の3割を支払い、30年間固定金利3%で毎月20万円支払う住宅ローンを組むと仮定します。
毎月20万円、固定金利3%の住宅ローンの30年間の支払総額は20×12×30=7200万円です。これを現在の借金額に直すと4768万円になります。
頭金を3割払うと仮定するとこのマンションの
「住宅ローン必殺理論適正マンション価格」は
6811万円になります。
これに新築プレミアムを1割乗っけた
「住宅ローン必殺理論適正新築マンション価格」は
7491万円になります。
どうでしょう。前回の投稿でかなり割高に見えた8500万円の物件が少し高い程度に思えてきませんでしょうか??
DCF法を熟知した投資家や本ブログの読者の方から見れば「おいおい!!」と思われるでしょうが、現実に私の周囲でマンションを購入した人の話を聞くとおおよそ(無意識的にですが)以上のプロセスでマンション価格をはじいているようです。
考えてみればどんな人でも一生の買い物がお得か損かは当然考えているはずです。にもかかわらずこれほどの高価格がついているのはバリュエーションの前提となる計算式が誤っているからである、と考えたほうが納得がいきます。
その前提には
「家賃は何も残らない無駄な出費である。」という買い手の認知的錯覚があると思います。
したがって、分譲マンションについていえばこうした錯覚を抱く買い手がつねにプレミアムを支払っている状況が続く以上、賃貸のほうが有利であると考えられます。
問題はこうした状況が永続するかどうかです。次回は地価上昇、金利上昇を踏まえて不動産株の未来について考えてみたいと思います。