2007年01月21日

不動産は分譲か賃貸か??〜買い手の心理考察

こんにちは。

前回の続きで、不動産価格と不動産株の未来を考えてみたいと思います。

まずは買い手の心理を考察してみます。

PALCOMさんのコメントにもあったのですが、分譲マンションは使用価値(賃貸収入)と比較して著しく割高な価格がついているケースが多いと思います。
買いたい人がとてもたくさんいるからこそこうした割高な価格がつくケースが多いわけなのですが、ではどうしてこうした行動を買い手はとるのでしょうか??

考えられる要因を列挙してみます。

@新築プレミアム 
新築物件は築1〜2年の物件に比べて1〜2割プレミアムがついています。
ところで、新築物件を賃貸で借りても2年後の更新の際に家賃が2割下がったりすることはまずありません。
つまりこのプレミアムは買い手は負担していますが、借り手は負担していないプレミアムであり、利回り低下をもたらします。

A持ち家信仰
古来より日本には「一国一城の主」という言葉があるように、「男は家をもって一人前」という神話があります。
これもプレミアムをつけているかもしれません。


しかし、こうした要因だけではあの分譲価格は説明できないと思います。
特にAについては、私の周りだけかもしれませんが女性のほうがマンション購入に積極的な傾向もあるように思われます。

またこのモデルでは30年ローンなど超長期にわたる住宅ローンが好まれることを説明しにくいと思います。
30年ローンで「一国一城の主」・・・。少し無理があるようにも思われますし。

おそらく買い手にはこうした要因のほかに認知的錯覚があるのではないかと思われます。
一言で言えば
B「家賃は何も残らない無駄な出費である。」という錯覚です。

不動産屋さんの必殺のセールストークは
「家賃と同じお金を毎月住宅ローンで払えばそのマンションは自分のものとして残りますよ!!絶対若い今のうちにローンを組まれたほうがお得ですよ。」です。

特に女性は無駄な出費を嫌います。
「毎月高い家賃を払うくらいなら、月々の支払いが同じ住宅ローンのほうがお得よね・・。」と考える若い女性は(少なくとも私の周りには)多いようです。

ここに不動産の低い利回り(高すぎる価格)の秘密があるように思われます。

以上の説明をモデルで考えてみます。

家賃20万円の物件があるとします。
この家賃をとても無駄であると考えている入居者はいくらでこの物件を購入するでしょうか??

もちろん前提として不動産屋が必殺の「毎月の支払い額が同じなら住宅ローンのほうが断然お得ですよ!!」トークをしているものとします。以下この必殺トークに基づく住宅価格を「住宅ローン必殺理論適正マンション価格」と呼びます。

この場合頭金で購入価格の3割を支払い、30年間固定金利3%で毎月20万円支払う住宅ローンを組むと仮定します。

毎月20万円、固定金利3%の住宅ローンの30年間の支払総額は20×12×30=7200万円です。これを現在の借金額に直すと4768万円になります。
頭金を3割払うと仮定するとこのマンションの「住宅ローン必殺理論適正マンション価格」6811万円になります。


これに新築プレミアムを1割乗っけた「住宅ローン必殺理論適正新築マンション価格」7491万円になります。
どうでしょう。前回の投稿でかなり割高に見えた8500万円の物件が少し高い程度に思えてきませんでしょうか??

DCF法を熟知した投資家や本ブログの読者の方から見れば「おいおい!!」と思われるでしょうが、現実に私の周囲でマンションを購入した人の話を聞くとおおよそ(無意識的にですが)以上のプロセスでマンション価格をはじいているようです。

考えてみればどんな人でも一生の買い物がお得か損かは当然考えているはずです。にもかかわらずこれほどの高価格がついているのはバリュエーションの前提となる計算式が誤っているからである、と考えたほうが納得がいきます。

その前提には「家賃は何も残らない無駄な出費である。」という買い手の認知的錯覚があると思います。

したがって、分譲マンションについていえばこうした錯覚を抱く買い手がつねにプレミアムを支払っている状況が続く以上、賃貸のほうが有利であると考えられます。

問題はこうした状況が永続するかどうかです。次回は地価上昇、金利上昇を踏まえて不動産株の未来について考えてみたいと思います。

posted by たけ先生 at 11:34| Comment(4) | TrackBack(3) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。legend_killerと申します。いつも興味深く拝見しております。

政策(税制)面による影響もばかに出来ないのではないでしょうか。かくいう私も断然賃貸派なのですが、プレミアムの剥げた中古物件なら、不動産投資もありかなっていう気になっています。
Posted by legend_killer at 2007年01月21日 19:31
デベロッパー側から見ると、
売上100%=売上原価80%+販管費10%+利益10%
という式が成り立ちます。
この式を見る限りデベロッパーが暴利を貪っているとは思えません。

たけさんが仰る新築プレミアム10%というものがなくなったら、デベロッパーは利益がなくなります。ですから私は新築プレミアムというものはないと思います。

賃貸が安くなる理由は販管費の10%を削れるからではないでしょうか。賃貸の販管費は礼金として顧客負担になっていますから。
Posted by AKI at 2007年01月21日 20:23
お久しぶりです。

私は賃貸派ですが、ちょうど周囲で自宅の購入ラッシュが続いているので、このテの話は気になります。「住宅ローン必殺理論適正新築マンション価格」、ナイスなネーミングですね(笑)
続きを楽しみにしています。
Posted by 空色 at 2007年01月24日 13:28
legend_killerさん、ありがとうございます。
よくリフォームされた中古住宅市場はアメリカではむしろ主流ですよね。

日本でもこれから伸びそうなマーケットと感じてます。

空色さん、コメント有難うございます。
intelligent investorさんが私よりもはるかに綿密な考察をなさっていますので、是非ご覧ください。

akiさん。
お久しぶりです。

>>デベロッパー側から見ると、
売上100%=売上原価80%+販管費10%+利益10%

なのですが、デベロッパーの売上高営業利益率は15〜20%くらいが多いように思います。
地価上昇でこれから下がるのでしょうが・・・。

また新築マンションと築2年のマンションで賃料はほとんど変わらないのに、分譲価格が1〜2割違うことを考えると、単純に賃料と分譲価格を比較する限り、新築プレミアムの存在は強く示唆されると思います。

逆に新築プレミアムがあるからこそ、売上原価(仕掛け様不動産)の価格が賃料水準から説明できないほど上昇するのではないでしょうか??

もし新築プレミアムが無かったら、デベロッパーの損益分岐点は低下して土地の値段はもっと下がっているんじゃないかと思います。

別の可能性としては、賃貸を嫌う人が多いので、その分借り手にプレミアムがつき賃料が不当に安くなっているというのも考えられますね。
Posted by たけ先生 at 2007年01月25日 20:32
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