2007年10月04日

国際分散投資のリターンについて

こんにちは。
最近の日本株の不調と外国株、特に中国株の好調により国際分散投資が脚光をあびているように思われます。

こういう風に中国株が上昇してくると投資雑誌には「GDP成長率が高い中国やインドは成長率が低い日本株より上昇して当然」といった論調があふれかえっています。

確かに企業収益はGDPの関数でしかないので、一見この記述は当然すぎるように感じます。

しかし、実は長期的には株式のリターンはどの国でもそれほど差がないとされています。また、そうでなければ国際分散投資の意味などありません。
成長率の高い国の株式リターンが高いことが自明なら、すべて成長率の高い国の株式にしておけばいいはずで国際分散は不要です。

なぜ成長率の高い国と低い国で株式の長期リターンがそれほど変わらないのでしょうか??答えは極めて単純で高成長国の株はPERが高くなることが多いからです。

株価は企業収益(EPS)×バリュエーション(PER)で決定されます。
成長国の株式はEPSの伸びも高い反面、それを織り込んでPERが高いのでリターンが成熟国株式に近くなるわけです。
逆にいうとGDP成長率の高い国の株式市場は普通は高PERとなります。

ところがここ数年香港H株やブラジル株、ロシア株などのPERはおおむねアメリカや日本を下回っていました。政情不安、流動性リスクなど様々な理由はあったのでしょうが、このところのBRICS株の急騰は高成長国の株式バリュエーションが見直されている過程とも考えられます。

また私は日本内需株に弱気ですが、その理由は単に日本のGDP成長率の期待値=内需企業のEPSの伸びの期待値が低いからではありません。

日本内需企業のEPSの伸びの期待値が低いのに、日本株のPERがBRICSや欧米と比べて決して低くないから日本株に弱気なのです。

この両者の違いは重要です。
例えばもし日経平均が明日8000円になったら私は今すぐに日本株のポジションを大幅に上げると思います。また現在の水準でも新興内需株には相当に期待リターンが高そうな銘柄が散見され食指が動きます。
逆にH株指数が3,0000ポイントになったら中国の高成長が続くと予想しても
中国株のポジションは下げると思います。
株式のリターンはいつでも収益×バリュエーションで決定されることを忘れてはいけないと思われます。

posted by たけ先生 at 22:59| Comment(13) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
竹井さんの仰る通りですね. ただ,バリュエーションを計算する際のパラメーターとして国債利回りやインフレ率も考えなければいけないですよね.
ここのところ,為替が半分固定されているような感じなので,PERだけでみるといつか仕返しくるんじゃないかとビクビクしています.
Posted by Tommy at 2007年10月05日 01:17
おっしゃるとおり、国債利回りとインフレ率は為替の決定要因としてとても重要です。
エクイティプレミアムが一定だとすると低金利通貨である日本のPERは高いのが当然、という考え方もできると思いますが実質GDP伸び率も日本は低いので感覚的には釣り合いが取れているようにも感じます。
少なくとも巷言われている1ドル=80円適正論は行き過ぎではないかと。
ビッグマックもアメリカの方が大きいですしw
Posted by たけ先生 at 2007年10月06日 10:52
日本株のPERが高い点は私も同意です。
TOPIXは現状で19〜20倍ぐらいだと思いますが、
米国,欧州に比べて高すぎると思います。
日本だけ出遅れていると日経では言われてますが、収益力に対してPERが高すぎるので、出遅れて当然だと思っています。

個人的には、TOPIXのPERが12〜13倍以下が妥当だと思っているので、それまでは日本株0でも良いかな〜と思ったり。

しかしながら、かなり内需が落ち込んできているので、どの辺が適正水準なのかはよくわかりませんね。自動車新車販売を見ていても、前年比9%以下とか、いざなぎ景気越えとは逆行の現象が起きていますし、消費活動は明らかに縮小しています。
平均給与が下がっている事や消費者金融の上限金利引下げ(これはATM手数料で対応でしょうか?)や、公定歩合が低すぎる為に物価の正常な上昇が出来ていないとか色々あるとは思います。
単純に考えれば、資本主義経済下では生産者と消費者の両立が無ければ成長は無いわけで、消費活動が拡大する見込みが立たない内は、日本株は控えるのは合理的に思えます。

もちろん、私も今すぐ日経平均8000円になれば、
大型株を中心に買い漁りますが(笑)
Posted by at 2007年10月06日 23:52
グロース株とバリュー株の話と同じですね。ただ、永遠に平均よりも成長する奇跡の企業は想像しやすいが、奇跡の国は想像しにくいので、グロース株は高すぎる値段が付きやすく、高成長の国は低い値段が付きやすいという違いがあるのかもしれません。

あと、「インフレ率がちがってエクイティプレミアムが同じ」なわけがないですよね。例えば、期待インフレ率がマイナスであれば来年の株価は今年よりも低そうなので投資家は国債利回りよりも高い配当利回りを要求するでしょうし、逆にインフレ率が高い国なら配当利回りが国債利回りよりも低くても株価が上がりそうなので納得するでしょう。同じ理屈で「キャップレートで考えると日本不動産は安い」なんてのも嘘だと思います。

結局、実質成長率とPERのみがパフォーマンスの決定因子なんじゃないでしょうか。
Posted by どうろすたー at 2007年10月07日 10:52
各国の市場の割安度を比較する際に、
PER比較はよくみかけますが、PBR比較とか
PERxPBR比較といったものはあまりみかけない気がしますがどうなんでしょうか?
現状で米国市場ではPBR1倍割れの銘柄をみつける
ことは難しいと思いますが、一方で全東証1部上場銘柄の約1/3がPBR1倍割れというのは、もうすでに十分に日本株は不人気、つまりさほどここから弱気になる必要はないのではないかと考えています。
(かといって大きく上昇するとは思えませんが。)
Posted by KW at 2007年10月09日 03:52
PERが高いのにPBRが低いというのは要するにROEが低いってことですよね?

PERとPBRのどちらが優れているかですが、これまでのところPERの方がリターンとの相関は高いようです(今後もそうである保証はありませんが)。
Posted by どうろすたー at 2007年10月09日 13:56
>>
消費活動が拡大する見込みが立たない内は、日本株は控えるのは合理的に思えます。

結局そういうことなんですよね・・・。
ここんところ少しリバってきてますが、やはり慎重になってしまいます。

>>どうろすたーさん
基本的には完全に同意です。
ただし高金利、インフレ国では調達金利も上昇するので企業業績がきつい側面もあり、結局難しいですね・・・。

>>KWさん。
昔は私も低PBR株をたくさん持っていました。
しかし村上ファンド判決で「利益市場主義には慄然とする」という慄然とするような判決が出るなど日本ではアクティビズム=悪というムードが強まりそうです。

低PBR株のリターンは少なくとも日本では期待できないようなきがします。
欧米もPEなどアクティビストの調達金利は上昇しそうなのでいままでほどは期待できないようにも感じます。
Posted by たけ先生 at 2007年10月09日 15:17
インフレ国で企業業績がきついのであれば「実質」成長率は下がりますよね?実質成長率が高いのであればインフレ率が幾つだろうと関係ないのではということです。

逆に言うと中国のPERが低いのは10%の実質成長なんて何年も続くわけが無いと思われているからで、中国株投資が報われているのはそう思われていたのに何年も続いたからなんだと思います。
Posted by どうろすたー at 2007年10月09日 18:35
ブログにてたけ先生さんのエントリを引用させて頂きました。
ご迷惑であれば削除いたしますので、ご連絡下さい。
Posted by AKI at 2007年10月16日 21:40
最近、ポートフォリオの検証をしたのですが、BRICSの比率が異常に多く減らそうと思うのですが、ここのところ、よく上昇してるので、タイミングを迷っています。短期の見解を参考にしたいのですが?よろしくお願いします。
Posted by おの at 2007年10月17日 15:53
私もそうですが、BRICSが上昇しているのでやむをえないですね・・・。

リバランス理論なら今下がっている日本株を購入すべきなのでしょうが、その辺は好き好きでしょうね。

短期は全くわかりませんが、何回か調整しながらもじり高になっていくのではないかという気がしています。
Posted by たけ先生 at 2007年10月18日 01:48
コストの高いBRICSファンドからBRICS各国等のETFに切り替えるのはどうでしょう?
Posted by おの at 2007年10月18日 09:51
それは市況とは関係なく、いつでもコストの高いファンドを買うのは意味がないように思います。
ETFのほうがいいのでははいでしょうか??
Posted by たけ先生 at 2007年10月18日 11:27
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