2007年10月21日

大きく騒がれるサブプライム問題と全く騒がれない日本の住宅着工激減

こんにちは。
IMFやG7が相次いで来年度の世界経済および米国の成長率見通しを下方修正したそうです。

ちょっと前までは強気一辺倒だったことを考えると調子のいいものだな、と呆れてしまいます。
権威があって優れた人材をそろえているはずの国際機関でもこれだけ予測をはずしているのですから、その辺のアナリストやいい加減な投資顧問のいうことは基本的に競馬新聞の予想程度に捉えておくのがいいと思われます。

アメリカの住宅問題についてはG7の指摘するとおり特効薬はないでしょう。個々人がこつこつ借金を返したり、銀行が不良債権の償却処理をきちんとしたり、建築会社が投機的需要を見込んで積み上げた住宅在庫を少しづつ投売りしていく・・・。
つまり個人も企業も損失を実現してバランスシートを修正していくことが必要となります。
アメリカ人はさすがに借金も消費も控えるようになるでしょうが、それだと景気が冷え込むので金融緩和を次々に行い、住宅価格の下落を食い止めるのがFRBの基本方針でしょう。

金融緩和の影響として、原油など商品市況やBRICS内需株はバブル的に上昇していくであろうと当ブログでは予想していました。ここまでのところ予想は的中しているように思われますが、そろそろ調整もあるかもしれませんね。

他方、日本の国内景気は徐々に冷え込んでいます。
耐震偽装の問題で住宅着工の許可がなかなか得られず、新設住宅着工戸数は7月が前年同月比23・4%減、8月はなんと43・3%減です。
試算によるとこれだけで四半期の日本のGDPを年率換算で-0.7%押し下げる!!そうです。
ちなみに大騒ぎされているアメリカの住宅着工もここまでは減っていません。

詳しい人に色々と聞いてみると、単なる事務手続きの問題ではなく、実質的な審査の厳しさがコスト転嫁しようがなく、まったく住宅着工ができなくなってしまっているほどだそうです。

しかもこの問題はまだ始まったばかりで今後1年以上住宅着工は回復しないとの試算もあるようです。
これは大変深刻な事態です。

当然考えられる影響として

・建築業者、工務店などの倒産による失業率増大、賃金の下押し圧力
・住宅関連素材への需要低下による価格下落、原材料価格の上昇とあわせ、素材メーカーへの打撃
・建売りサイクルの停止によるデベロッパーの資金繰り悪化、倒産、失業率悪化、賃金の下押し圧力

などアメリカ同様さまざまな負の波及効果が予測されます。
いずれも内需や消費を冷やす効果で小売などサービス業にもかなりの悪影響を及ぼすおそれが強いと思われます。

 おそろしいことに、政府もマスコミも全くこの問題を問題視していません。他国であるアメリカ住宅市況については日本政府も日本のマスコミも毎日大騒ぎしているのに、です。
いったいドミノは何枚目まで倒れるのか・・・。
 日本の実質成長率はもともと2%でいいとこなので、内需要因で0.7%押し下げられるだけでも大変なことです。しかもこの0.7%は上記の負の波及効果を想定していません。
 さらにこのブログで再三とりあげた消費者金融殲滅運動による信用収縮の影響が深刻化するのもこれからです。

 このままだと、本当に08年度の日本のGDP成長率が0になってもおかしくないと思います。しかし、政府も日銀もマスコミも危機感はゼロです。政府部内では成長をあきらめて増税すれば世の中はばら色だ、とのふざけた議論が主流になっています。日銀の福井総裁などはG7後に「日本の景気の先行きが日銀シナリオ通りに推移していることに自信を深めた。」などと発言しています。妄言もここに極まっていると言えるでしょう。
 日本経済の現状は非常に危険極まりない状況であると考えられます。

一部売却銘柄
0857:HK Petrochina
posted by たけ先生 at 17:14| Comment(7) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
住宅着工件数に関するご意見には同感です。
たけ先生の冷静な視点と適切な分析にはいつも関心することしきりです。

それから揚げ足をとるようですが。
競馬新聞は予想による収益の結果も発表されますし、みな真剣ですよ。不確実性という文脈ならわかりますが、いいかげんさの比喩としてはいかがかと。
Posted by うぉーにん at 2007年10月22日 00:22
私も競馬ファンなのでトラックマンの真剣さは理解しております。
と同時にぼろくそ言ってるアナリストも一部ポジショントークはあるのでしょうが、真剣に仕事はしていると思います。

両者に共通しているのは真剣な努力がリターンや的中率の向上に結びついているかが極めて微妙ということです。
私も好きな記者の競馬新聞の予想は参考にしていますが、印そのまま馬券を購入したりはしません。アナリストもそんな感じの付き合い方がいいのではないかと感じております。
Posted by たけ先生 at 2007年10月22日 13:12
いつもブログ読ましてもらってます。
実際、建築確認がおりるまでかなり時間がかかってるみたいです。しかも審査の問題なので企業側で努力のしようがないのでは?・・・
日経にも先週掲載されてましたが、全く世間では無反応な感じですね。
中間決算では影響は本格化してないみたいですが、通期ではでてきそうですね。


Posted by 隼虎 at 2007年10月22日 21:49
いつもするどい観察に感服しています。
住宅着工件数に関する話題は、
竹井さんの仰るとおり、メディアに
取り上げられる事はほとんど無いですね。

某巨大掲示板で、一部この問題について議論が
飛かっていましたが、情報規制があるのかテレビ・新聞等で見かける事はめったにありません。

改正建築基準法の影響として、
住宅関係だけではなく、メーカーの新設工場等も
建設が大幅に遅れている為、日本経済としては
かなりのダメージを受けると思われます。
銀行等も住宅ローンが大幅に減る為、アメリカ以上に売り込まれるかもしれません。
一般住宅以外の影響も大きすぎるので、日本株は
ほぼ全て処分してしまいましたが、日本は本当に上昇する材料がありませんね。

知人の構造建築士と話をしていて思ったのですが、改正基準建築法は、構造建築士に一方的に無限の責任を追及する形になっており、個人的には産婦人科医の問題と似ているような気がします。構造建築士の廃業がどんどん増えていけば、
メディアからは責任感が足りないからだと言われるだけかもしれません。
Posted by たかし at 2007年10月26日 20:53
たかしさん、コメントありがとうございます。
産婦人科医と似ているとのご意見、実は私も同様に感じていましたが医療ネタと結びつけるとポジショントークと思われそうなので自粛しておりました。心強い限りです。
しかし何でもかんでも悪者探しをしてそいつに全部責任をおっかぶせて、大岡裁きでこれにて一見落着というメディアはなんとかならないのでしょうか?
回りまわって国民の不利益になるだけなのに。

時々、ほんとに時々ですが21世紀は民主主義は自滅していく運命にあるように感じております。
Posted by たけ先生 at 2007年10月26日 22:06
難癖をつけるようなコメントをしてしまい申し訳ありませんでした。

おっしゃりたいことは理解しておりますし、冷静な分析にはいつも敬服しています。
Posted by うぉーにん at 2007年11月02日 20:59
こちらこそこれからもよろしくお願いいたします。
天皇賞は某紙の前哨戦のタイム比較を参考にアグネスアークを本命にして当たりましたw
久々の的中ですが、このようにちゃんと読んでおります。
Posted by たけ先生 at 2007年11月04日 22:34
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