2007年11月20日

財務省と日銀はなぜ政策を間違え続けるのか?

こんにちは。

今日はようやく反発しましたが、株価は直滑降のように下落しています。マスコミにはサブプライム問題による米国経済の先行き不安と円高が原因のように書いてあります。しかし、円高がそんなに日本景気に悪いならドル安だってアメリカ景気にいいはずです。

こうしたアメリカと為替のせいにする報道は日本の実体経済が悪いという不都合な真実を誤魔化そうとしているようにすら思えます。

「先々景気は良くなってくるし、賃金が上がってくるのでバブルを防ぐために先手を打って利上げしなければならない。」という日銀理論はすでに破綻しかかっていますが、日銀、財務省ともに利上げと増税という「悲願」をあきらめようとしていません。

なぜ日本の金融、財政当局はこのように政策を誤り続けるのでしょうか??

理由としては次のようなものが考えられます。

@日銀、財務省とも「金利の正常化」「増税による単年度の財政均衡」という極めて狭い政策目標が組織の自己目的化してしまっており、財政政策、金融政策の影響を考慮していない。

A過去十数年の日本の低成長から日本の潜在成長率を過少推計している(実際、政府・日銀とも潜在成長率を2%以下に見積もっています。)

B財務省は「景気は天気のようなもので良かったり悪かったりするものだが、税率を上げておけば景気が良くなったときに一杯税収が上がる」と考え、増税や歳出削減が景気(ひいては税収)に及ぼす影響を考えていない。

C日銀は低金利によるバブルの出現こそが失われた10年と日銀の威信を失墜させた元凶と憎悪するあまり、資産バブルを起こさないこと自体が政策目標化している。逆に言えば資産バブルが起こるくらいなら不景気の方がましと考えている。

D家計と国の借金を混同している。
「借金は今を我慢してでも節約して早めに返さなければならない。」と思い込んでいる。良心的な政治家であるほどこの誤解にはまりやすい。

E財務省、日銀とも政策転換すると今までの誤りの責任を追及され、組織の威信が傷つき、権限が縮小されると怖れでいるため、従来の主張を変更できない。

おそらく真実は上記@〜Eの全てなのでしょう。
端的に言えばどうろすたーさんの言うとおり無知だから、とも評価できそうです。

私がサブプライム問題を楽観している根拠は金融政策をバーナンキ、財政政策をポールソンという極めて優秀な人物が問題点を正確に把握し、おおむね適切な対応をとているからです。

これに対し福井総裁も与謝野議員も名前も知らない財務省の役人連中も日本経済の問題点を全く把握しておらず、誤った政策に固執しています。

おそらく彼らは自発的に誤りを是正することはないので、このまま日本は大不況に突入していく可能性が高いと考えられます。

次回は国民一人一人ができることを考えてみたいと思います。

posted by たけ先生 at 23:30| Comment(2) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
@〜Eは全てその通りだと思いますが、なかんずくBが主因であり、他はそこから派生した問題であると私は考えます。すなわち、「資産バブルを起こさないこと自体が政策目標化している。逆に言えば資産バブルが起こるくらいなら不景気の方がましと考えている。」1989年を境に日本の金融政策は変わったのです。その帰結は1989年革命と言っても過言でないほどだと思いますが、バブルを起こさせないことを金融政策の至上命題とするなら、慢性的な不況=低成長は必然です。「失われた15年」は決して天災ではなく、こうした金融政策の必然的帰結なのです。
Posted by dell at 2007年11月21日 21:23
>私がサブプライム問題を楽観している根拠は金融政策をバーナンキ、財政政策をポールソンという極めて優秀な人物が問題点を正確に把し、おおむね適切な対応をとているからです。

同じ理由で私も楽観とまでは行きませんが、アメリカが日本のように中期低迷するとは考えていません。しかしアメリカの中央銀行が日銀じゃなくて良かったですよ、世界経済が大混乱に陥るところでした。
次回を楽しみにしています。

Posted by ゆーき at 2007年11月21日 22:34
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Tracked: 2007-11-22 20:09
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