2007年12月21日

07年総括〜@内需株、バリュー株不振

こんにちは。

今年も残すところあとわずかとなりました。
株式投資家にとっては辛い一年だったのではないかと推察します。

今回から、07年の相場の結果と原因を総括していきたいと思います。

第1回は小型株、バリュー株の不振です。

皆様ご存知の通り、今年の小型株、バリュー株の成績はひどいものでした。ひところ流行っていたバリュー投資という言葉もあまり聞かなくなりましたし、ブロガーの方も何人かは退場に追い込まれてしまったようです。
それだけバリュー株は不振でPER10倍の株を買ったら5倍になったとかPBRが0.9倍から0.6倍になったとかいう経験をした方も多いのではないでしょうか??
なぜ安全域が広いはずのバリュー株がこれほど悲惨なパフォーマンスだったのでしょう?
後付けですが、理由を考えてみたいと思います。

@セクターと業績悪化

新興市場、小型株、バリュー株は多くの場合内需株です。

日本は今年もデフレを脱却できず07年の名目GDP成長率はたった0.8%でした。
しかもこのGDPのプラス分はほとんど輸出の増大によるものなので、消費や国内設備投資といった内需はほとんどゼロ成長です。

ゼロ成長ということは去年とEPSが変わらないので内需系企業の2社に1社は減益することになります。
また日本は資源輸入国なので、こうした内需株の多くは原油高など資源高がマイナスに作用したことも見逃せません。

さらに消費者金融規制、建築基準法改悪、無理な財政再建、デフレ下で利上げを試みる金融政策・・・。
当ブログでも再三指摘してきましたが、政府・日銀が景気を冷やす愚策を乱発している以上、08年以降の内需も(アメリカ景気が減速しなくても)マイナス成長が見込まれます。
現実にアメリカ景気や円高の影響を受けにくい不動産や広告、放送、ITなどのセクターの下落はこうした国内景気後退を強く示唆していると考えられます。
従って、内需株全体の08年EPSは07年よりさらに減益することが十分に予測されます。EPSが減少すればPERは上昇するので収益バリューは収益バリューではなくなります。
バリュー株の株価はEPSの下落を先取りして下落している可能性があります。

Aファンド・バッシング

バリュー投資の高いリターンは「本来価値以下にディスカウントされた株を購入し、本来価値に価格が収斂する」ことによるものです。

しかし、本来価値に価格が収斂するためには誰かが価値と価格の乖離に着目して裁定取引を行わなくてはなりません。
こうした裁定におけるアクティビストファンドの果たす役割はとても重要です。
しかし07年には村上ファンドやスティールパートナーズなど(傲慢な振る舞いなど彼らにも問題はありましたが)この手のアクティビストファンドに不利な判決が続出しました。
また世論もおおむね「拝金主義のファンドは悪」としてこうした流れを歓迎しているように見えます。

アクティビズムに対する是非はさておき、こうしたバッシングはバリュー株、特に資産バリュー株の株価が価値に収斂することを難しくします。その結果「永遠の割安銘柄」が続出してしまったわけです。
資産バリュー株の上昇にはTOBや自社株買いなどなんらかのカタリストが契機になることが多く、今年の相場からはカタリストが失われてしまった感があります。

なお、サブプライム問題は日本内需株の下落にそれほど関係していないと思います。アメリカは「不況になるかもしれない」という恐怖感なのに対し、日本は先に現実の不況に突入しているので、先に株価が下落しただけではないかと思われます。

日経新聞やマネー雑誌を読んでいると「サブプライムのせいで株価下落」と毎日書いています。
こうした論調は国内景気の悪化をアメリカに責任転嫁することで、来るべき不況(と国内株下落)から逃避しているだけのように思えます。
posted by たけ先生 at 11:10| Comment(4) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たしかに、マクロ的には来年の日本経済について楽観できる要素はあまりないですね。
でもそれだけに、日本の株式市場も今が悲観の極であるように思えます。指標的に非常に割安な株が増えていることもそうすし、悪材料には反応し好材料へは反応が限定的なこともそうです。個人的には、日本株は実は今が底なのではないかというふうに見ています。
Posted by dell at 2007年12月21日 20:27
マーケットタイミングを読むのは難しいのですが、アナリストたちのコンセンサスは来年度は名目1%〜1.5%成長くらいと思います。

このコンセンサス通りの数字を出せたら、多分現在の水準よりは上昇するように思いますが、私自身はアナリスト予想よりはるかに悲観的な見通しを持っているためまだ買い出動する気になれません。

日銀が利下げしてマネタイズする、政府(民主党政権かもしれませんが)が財政再建を放棄する、などのカタリストが欲しいなと考えています。
Posted by たけ先生 at 2007年12月21日 22:19
こんにちは。

竹井さんの仰るとおり、日本株の取巻く状況は
非常に厳しいと思います。
確かに割安な株も増えていますが、東証一部の平均PERはそれ程割安では無く、今の低成長率から見るとまだ下げ余地があるのではないか?と個人的には思っています。

日本のテレビ・新聞等のメディアは、サブプライムを原因とした日本経済減速?ばかりですが、
海外の英語記事を読んでいると、この局面で金融緩和しなければ日本はかなりまずいという趣旨の記事を何度も目にしており、かなり食い違っています。

今年は、日本株をほとんど処分し、外国株式割合がほぼMAXになってしまいましたが、改めて、TOPIXのパフォーマンスと諸外国のINDEXを比べてみると、ここ数年の日本株の上昇でも世界では決して高い方では無く、寧ろかなり下位に位置している事が分かります。成長率が非常に低い為ですが、カントリーバイアスで無理して買う必要も無いかなと思っています。

もちろん、日本が健全な成長に向かって欲しいと
思っていますが、日本の抱えている問題は、様々な勢力が混在し、一筋縄ではいかないと思っています。(選挙ではすごく悩んでいます・・・)

yahoo newsでもよく出てきますが、財政赤字を家庭の収支に例えるとこんなに・・・の記事はお腹いっぱいです。
Posted by maru at 2007年12月24日 19:14
maruさん、コメントありがとうございます。 私も日本株はポートフォリオの10%以下になってしまいました。 日本株と言ってもトヨタやホンダ、SHOEIなどが主力なので実質的には外国株のようなものですが(笑)

日本に悲観したくなる要因のひとつに経済マスコミ、特に日経新聞のレベルの低さがあります。

分譲の在庫急増を「売り渋り」と言い張り、デフレ化の利上げを「金利の正常化を歓迎する」、景気後退期の歳出削減を「社会保障費を削減して改革路線を維持せよ!」と正当化するなどとても経済専門紙とは思えぬお粗末な論調です。

WSJやFTなど海外一流経済紙とは比較にならず、むしろ「年末に急騰する株特集!!」とかやってるそこらのマネー誌と大差ないレベルと思えます。
日経新聞記事のレベルがこれほど低くても許されるということは主要購読者である(本来経済には強いはずの)大企業サラリーマンや会社役員たちのリテラシーが低いことを示唆します。
これでは国の経済政策が正しい方向に行くはずがないなと。
選挙はとりあえず自民党の「財政再建派」と言われている議員たちが落選してくれることを祈っております。
Posted by たけ先生 at 2007年12月25日 18:50
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