2005年11月18日

自己帰属バイアスD

こんにちは。
というわけで、自己帰属バイアスの最終回です。

自己帰属バイアスのパターンとしてありがちなのが「銘柄への思い入れ」です。

ファンダメンタル分析、特に定性分析を重視する投資家(私もそうですが)は、PER、PBR、ROEといった定量尺度のほかに、様々にその企業を分析して未来の収益を予測します。

 例えば企業のセクターの成長性、ブランド力、競合相手、海外進出の状況、その企業の提供する製品ないしサービスの需要といったものの分析です。
 機関投資家ならこれに加えて、経営陣へのインタビュー、取引先や金融機関の評判、従業員の士気、離職率といったことも分析できるかもしれません。
 
 そして自分なりに将来シナリオを描いて、将来の収益予想をして、場合によってはDCF法やCAPMといった専門的な手法を用いて株価が割安かどうかを判断します。
 これだけの複雑な過程を経て投資をするわけですが、問題なのはこれほどの手間ひまをかけても企業の将来収益や株主資本の予測はきわめて難しいということです。

 単純なビジネスモデルで、ブランド力のあるフランチャイズ型企業なら予測はしやすいかもしれませんが、それでも完全とはいきません。

 思わぬ企業がビジネスモデルチェンジにより、急に儲かることもあります。
 逆に好調な企業でも、あまった株主資本を無駄な多角化や買収にまわして、大赤字を出すかもしれません。

 さて、ここからが問題です。
 不幸にして、緻密な分析にもかかわらず、どうもあなたの投資先は予測どおりの利益をあげられません。経営陣は公募増資をかけて、買収によるシナジー効果を謳いあげています。

 典型的なダメダメパターンです。

 こうした不幸な事態の際に問題になるのが「銘柄への思い入れ」という名の自己帰属バイアスです。
 やはり恋人と同じで、一生懸命考えて決定した投資先には情も思い入れもあります。自分の予測が外れてもそうそう割り切れるものではありません。

 断っておきますが、決して定性分析が悪いわけではありません。むしろ必須であると思います。ただし、定性分析に自信を持つあまり自己帰属バイアスで客観視できなくなること、これがプロのトレーダーが大損をこくパターンのようです。

 長かったこのシリーズも終わり、次回は読書感想文でも書く予定です。
posted by たけ先生 at 15:17| Comment(2) | TrackBack(2) | 心理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いろいろ心理学の面から勉強になります。
勝手にリンクを貼りました。
ちょくちょく寄らせていただきます。
Posted by kanemotipapa at 2006年02月03日 23:14
こんにちは。kanemotipapaさん。非常に勉強になるないようですね。とくに、金融の先生の言葉はいい言葉ですね。「継続は力なり。」と感じています。
これからもよろしくお願いします。
Posted by たけ先生。 at 2006年02月05日 13:27
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